「蓮、そろそろ機嫌直してよね…」




二人きりの幹部室、あたしの隣に座る蓮は仏頂面。


どうやら星宮の一件が気に入らないらしい。


星宮が帰ってから結構な時間が経ったというのに、一向に戻らない機嫌。


他のメンバーはそれを見てそろそろとここから出て行ってしまった。




「蓮~…」


「んだよ」


「何怒ってんの」


「別に」




その返事に納得がいかず、ムッと唇を突き出す。




「嘘つかないでよ。さっきからずっとブスッとしてるし…――んっ?!」




あたしの声を遮るように腕を引かれたと思うと、蓮に抱き締められる。


なんだか蓮は昨日から不意打ちが多いと思う。


心臓に悪いからやめてほしい。


…なんて、本当にやめられたらそれはそれで嫌だろうけれど。




「お前、隙ありすぎなんだよ」


「え、ごめん」


「思ってねぇだろ」




あたしが悪いみたいだから謝っただけなのに、微妙に声を低くして返してくる言葉にそんなことない、と呟く。




「じゃあ隙無くせよ」