「今、なんて……」 「だから、一緒に帰る? って」 もう一度言ってみると、彼女は口許を両手で覆い隠し、はらはらと涙を零し始める。 「え……っ、ちょ、ちょっと……」 「……ほんとう? ほんとうに一緒に?」 思わず、慌てた。 これまで俺は、ただの軽い誘いだと思っていたから。 OKすれば、「やったー!」と子どものように大はしゃぎするだけかと思い込んでいた。 ただ一緒に帰るだけなのに。 涙を流すほどの深い感情を俺に持っていたなんて、知らなかった。