「大丈夫」 そう言いながら、蜂谷は自分のバッグを探り始めた。 「そういえば、あんたってマフラーしない派?」 「……え?」 「してるところ、見たことない」 “しない”というより、“できない”んだ。 「冬の必需品!」 蜂谷がバッグから取り出して、俺に見せたもの。 ――……心臓が、どくりと鈍い音を立てた。