曲を弾き終え、拍手をもらい、ステージを降りてから自分のクラスのところに戻った俺は、真っ先に蜂谷のほうを見た。
目が、合う。
あきらかに不機嫌な表情。
俺と目が合ったことに対するものなのか。
それとも、あの曲を弾いたことに対するものなのか。
その表情だけじゃ分からない。
放課後。
翌日、模擬店で売る焼きそばの下準備をするために家庭科室へと向かう。
幸いなことに、蜂谷も下準備のメンバーに入っていた。
「あっ、教室にエプロン忘れてきた!」
家庭科室に向かう途中の渡り廊下で、倉田が“しまった”という顔をして立ち止まる。