口の割にはそれらしいことを始めないレイヤに、あたしはもどかしさを覚えた。 無論、それはしてほしいという意味ではない。 覚悟を決めたのに、何なのさ。 という気持ちだ。 「サキ」 「様付けろ言うたやん」 「黙って聞け、クソババァ」 「どついたろか」 レイヤは少し体を離してあたしを見た。 「実は今、家に帰れない理由がある」 「どんな?」 「それは言えない」