ロンリーウルフ


「大丈夫なら、これで」

ムカついたあたしは、足早にその場を立ち去ろうとする。

バカバカしい。

死体だなんて思ったりして。

そんなもの、この平和な町に転がってるわけがないじゃない。

「おい」

弱った声で呼び止められ、条件反射で振り向いた。

さっきのクソガキが不躾にあたしを見つめている。

腹の虫が治まらないあたしは、さっきの彼と同じトーンで

「はぁ?」

と睨み返してやった。

「水」

「は?」

「その水、くんねぇ?」

「は?」

「だから水つってんだよ」

思わず、舌打ち。