ロンリーウルフ


あたしは水を飲んで、壁にかけられた鏡を覗く。

鏡越しに相川さんと目が合った。

「顔が疲れてるね」

「え?」

振り返ると、彼はデスクで頬杖をついている。

「寝不足? それともなんかあった?」

厳つい腕とは裏腹に、穏やかな笑顔、優しい声。

相川さんは本当に人をよく見ている。

カン違いしてしまいそうだ。

それだけあたしのこと、見てくれてるのかなって。

見ているのはあたしだけじゃないのに。