それをわかっていて、相川さんは上手く嬢の采配をする。
「大学生だし、朝から講義があるからあんまり飲まされない人の方がいいでしょ?」
「彩音さんには彩音さんの客層があるんだから、合わないお客さんがいても粗相さえしなければ大丈夫」
「勉強もあるのに、いつもありがとう」
相川さんの優しい言葉は、辛いときほどよく響く。
彼はきっと他のみんなにも優しいけれど、そういうところが好き。
嬉しかった言葉を思い出して胸が踊ったあたしは、暇を理由に裏へと向かった。
もちろん、相川さんに会うために。
裏の部屋に入ると、暇をもて余したボーイさんと相川さんが雑談をしていた。
相川さんは腕捲りをして、筋肉を彼らに見せ付けている。



