レイヤは何も言わずに車に乗り込み、肩にかけていた上着を後部座席に放った。 ペシャッと、水気を含んだ音がした。 「靴もパンツもグショグショだバカヤロー」 「やらしいこと言うなこの猿が」 「チッ、お前と一緒にすんなエロ女」 口が悪いな。 もう一度川に落としてやろうか。 「あーそう。そんなこと言うなら、もう二度としない。ずっとお預けだね」 「……それは困る」 「エロ少年」 「男はみんなこうあるべきなんだよ」 レイヤは助手席の窓を眺めていた。 表情は見えない。