タバコを吸い終わって灰皿に押し付けていると、横からドン!と音がした。 驚いて音のほうを見ると、助手席の窓に拳を押し付けているレイヤだった。 濡れた髪とタンクトップ。 さっきまで着ていたブカブカのジャージの上着は、肩にかけられている。 「おいババァ」 怒っているというよりは、疲れきったような顔をしている。 「頭は冷えたの?」 とぼけた顔で聞いてやった。 「……おかげさんで」 「乗る?」