ロンリーウルフ


そ知らぬフリをして、冷蔵庫を開けてウーロン茶を取り出す。

グラスに注ぐと、ピチャンとはねて手にかかった。

「悪いことなんてしませんよー」

おどける相川さんの逞しい腕は、厳つい刺青だらけだ。

「じゃあ、誰をボコったの?」

「誰も?」

シラを切る気か。

そうはいかない。

「響香さんのお子さん、とか?」

裏部屋が静まり返る。

ホールから向日葵たちの笑い声が聞こえた。

「……聞いてたの?」

「聞こえただけです」