夏真っ盛り。
陽射しが強い。
白い路地の照り返しが眩しくて、あたしは思わず目をしかめた。
まったく、これじゃアイメイクの意味がない。
毎日できるだけ大きく見せようと頑張っているのに。
あたしは手で影を作って、眩しさを回避する。
もう少し行って、そこの角を曲がれば影を歩ける。
その時。
「ついてくんなっつっただろうが!」
「きゃっ!」
ただ事ではない声と音。
事件はそこの角を曲がったところで起こったらしい。
え? なに?
痴話喧嘩?
そんな現場の横なんて、通りたくない。
だけど道はこれしかない。
影もそこにしかない。



