家族でも彼氏でもない男が待つ自宅へ向かう。
湿気が確実に肌に付着していくような嫌な感覚から、もう少しで解放される。
あのクソガキのことだ。
きっと電気代のことなど考えもせず、エアコンをキンキンに効かせているはず。
それを期待しながら、自宅の鍵を開ける。
ガチャッと夜中の廊下に響き、嗅ぎ慣れた部屋のにおいがあたしを包み込んだ。
「ただいまー」
思わず出た言葉に、返事はなかった。
脱衣所に明かりがついている。
レイヤは浴室に入っているらしい。
期待通り、部屋はエアコンで寒いくらいに冷えていた。
ああ、生き返る。



