「はぁ~」
向日葵の大きなため息。
しゃんとした背中が瞬時に丸くなる。
何ともないように笑っていたけれど、向日葵にもノルマのプレッシャーは堪えていたようだ。
「ひーちゃん、急に老けた」
あたしが指摘すると、向日葵はげっそりした顔をこちらに向けた。
さっきまでの笑顔は接客のための営業スマイル。
プロだなぁと、感心する。
「だって……ノルマとか聞いても、全然モチベーション上がんないし」
「どうして急にノルマなんか始めたんだろうね」
何気ない疑問を口に出すと、向日葵は眉間にシワを寄せた。
「彩音ちゃん、知らないの?」



