ロンリーウルフ


ため息をついて、少しだけ彼に近づく。

袋ごと彼に水を投げつけると、キャッチに失敗。

横に転がった袋からゆっくりペットボトルを取り出した。

礼も言わずに開封し、顔をしかめたままグビグビと水を飲む。

この隙に立ち去ろう。

踵を返すと、またもやクソガキが呼び止める。

「おい」

舌打ちだけして、今度は無言で振り返る。

体が痛いのか、彼は顔をしかめて唸りながらゆっくりと立ち上がり、ケツをはたいた。

「オネーサン、一人暮らし?」

「そうだけど」

しまった。

違うって、言っとけばよかった。