でもね… わたしは何だかヘコんでいた。 やっぱ聞くんじゃなかったな、元カノの話なんて…。 まだまだガキッぽかった樹がどんなに彼女に夢中だったのかとか 二人がどんな感じで付き合っていたのかとか 今も彼の心にその人の影があることやなんかをリアルに感じて 樹がとても…遠い遠い人のように感じていた。 「おーい、今何の話?」 信号待ちで停車中に、運転席の樹が思いっきり振り返って訊いてきた。 気がつけばお父さんってば助手席でグースカ寝ちゃってる。