「ど……うして?」 「え?」 きれいな瞳が揺れる。 「は、激しいよ、急に?」 そうささやいたら、樹はバッと体を起こした。 「マジか、ゴメン」 運転席にちょこんと座って、照れくさそうに笑う顔。 去っていくトラックのテールランプを見送りながら、わたしはたくさんの「どうして?」を持て余していたんだよ――。 どうしてわたしを選んでくれるの? どうして急に部屋に誘ったの? どうしていつもと違うの? 何かを吹っ切ろうとして見えるのは どうして……?