だけど樹は「そっか」と言って、スッと手を離した。 「じゃ、元気でね」 取り繕うように笑って美里さんは席を離れていく。 その背中を樹が呼び止めた。 「ミサ……」 一瞬、彼女の足がとまる。 「俺、番号変わってないから」 低い樹の声。 ミサ……。 俺、番号変わってないから。 ミサ……。 俺、番号変わってないから。