「ちゃんと眠れた?」


言える立場でもないけれど気になるので訊いてみる。


「おーバッチシな。さっき目が覚めてシャワーしたとこだ」


夜通し走り戻ってくるドライバーのために、ここには仮眠用ベッドもシャワールームも洗濯機も完備されている。


樹はサマーニットとジーンズという一応デート仕様っぽい服装になってくれていた。




「うふ、ヒゲなくなってるし」


表に出てから彼を見上げて笑うと、


「ああ……ヒゲ痛かったか?」


なんて訊かれた。


何のことだかわかんなくて、一瞬キョトンとしてると


「あんとき俺、若干寝ぼけてたよな?」


と樹が言った。