5月の終わり―― お花見以外でも誘ってくれる約束をして でも、なかなか都合が合わなくて、会えなかった頃だ。 結局二人で映画を観たのは6月の後半 先々週だったね。 「お前、ツンとすまして歩いててさぁ、何か別人みたいだった」 「へ?」 「制服着て、ちゃんと女子高生してて… 大人っぽく見えた」 「ふふ、ホントに?」 ハンドルを軽く動かしながら、樹がうなずいた。 「周りのやつらもみんな自由で、輝いて見えて、ああ、こいつら本当に高校生なんだな…って思ったよ」