「何か食うもん買ってくるわ」


樹はそう言い残すと、スッとプールの中に入っていった。


ジャバジャバと陸クン達のところへ行き
「おら、買い出し行くぞ」って誘っている。


「あたし真琴お姉ちゃんと一緒にいるー!」


雫ちゃんの可愛い声が耳の端に届いていた。






そっと……

コンクリについていた手を胸に引き寄せる。


さっきまで重ねていた樹の手の感触が、まだ残っている気がした。


何でいつもこんなふうになっちゃうかな?


この間の帰りといい今日といい…拗ねてひねくれて重たい空気に替えてしまう。





せっかく会えたんだから楽しく笑って過ごしたいのに


樹の笑顔を見ていたいのに――