「16かぁ…」 15も16も彼にとってはさして変わりはないらしく、樹はこんなことを言った。 「真琴が17歳になったら、親にもちゃんと話すよ」 「そんなときまでつきあってるか わかんないじゃん」 思わずそう返したら、彼は一瞬言葉を呑み それから「…だよなぁ」って笑った。 「学校で好きなヤツできちゃうよな」 なんて言う。 樹のバカ……! 悲しくなってうつむいていると、樹も口をつぐんでしゃべらなくなった。 ――無言が重い。 周りの嬌声や水しぶきの音が、やけに遠くに感じていた。