「あ、あがって一緒にさくらんぼ食べよ。晩ご飯ももう出来るし」 「いや、会社にこれ返しに行かなくちゃなんないんだ」 家の前には懐かしの大型トラックが停まっていて、樹はそれを親指でヒョイと指差した。 彼の勤める運送会社はここからそう遠くはないらしい。 車で20分くらいって言ってたかな。 一人暮らしのアパートもその近くだって聞いた。 「そんな…せっかく会えたのに」 「あはは、よく言うよ。今の今まで俺のことなんかすっかり忘れてたくせに」 「わ、忘れてないもん!」 忘れてないもん…。