ハルアトスの姫君―君の始まり―

涙が止まって、距離を置いてあたしは訊いた。


「…どこ行ってたか、話してくれる?」

「もちろんだよ。」

「あ、でもその前に、どうやってここに入ったの?」

「あーえっと…式典終わって人気のないところに隠れてた。本当はジアの部屋に侵入しようかと思ってたんだけど、ジアが一人で現れたし…。」

「え!?式典にいたの!?」

「ジアの話、聞きたかったからね。」

「じゃあどうしてその時シュリみたいに…。」

「ジアの話をちゃんと聞きたかったからだって。少し怯んだのも確かだけど。
…あんまりにもジアが強くなってたから。」


キースの手がそっと右頬に触れた。


「眩しいくらいに君は強くなってた。…これじゃあいつまで経っても追い付けそうにないね、俺は。」

「…強くならないと、何も守れないもん。
あたしは大事なものを守りたい。…それに、約束したから。」

「そうだね。さっきも言ってた…ね。」

「キースが戻って来れるようにしたかったけど…まだ足りない。それはごめんね…。」

「半年かそこらでどうにかなる問題じゃないよ。
それに俺は、ジアがあんな大勢の前でああいう風に言ってくれたことの方が嬉しかった。
ちゃんとけじめをつけてきて良かったって思える。」

「けじめ…?」


キースはゆっくりと手を下ろし、真っすぐにあたしを見た。