ハルアトスの姫君―君の始まり―

「諦めの悪い女だなシュリ。
…この世に未練でもあるのか?それほど永い時を生きてもなお。」

「その言葉、そっくりそのままお前に返す。
この世に未練ばかりを残して、醜態を晒しながらしがみついている。」

「言わせておけば貴様…好き放題言いおって…。」


憎悪の感情を剥き出しにしたジョアンナ様の声がただ響く。
炎は一向に弱まらない。





「事実だから、それほどまでに逆上する。
…違うか、ジョアンナ?」





ジョアンナ様からの返事はない。
炎が酸素を消耗していく。





「…死に急いだな、シュリ。
さようなら、とでも言っておこうか。」

「っ…あぁ…!」

「シュリ!」


よろける身体をなんとか起こして、シュリの傍に立つ。
シュリは僕を振り返らない。


僕は後ろからシュリの華奢な身体をそっと抱きしめた。