ハルアトスの姫君―君の始まり―

その瞬間、華吹雪全体が光る。目も開けられないほどに。
その光を浴びると、なんだか頭の中の霧が晴れていくような気がした。


目の前にいる、君は…。





僕が世界で一番よく知る人だ。
どうして忘れていられたのだろう?
―――忘れることができたことの方が、嘘みたいだ。





「シュリ。」




君はシュリ。僕が世界で一番愛した、大切な人だ。





「シュリ。」




もう一度名前を呼んだ。
今度こそはっきりと、その瞳を見つめて。


その瞳から涙が止めどなく零れ落ちる。
…ねぇ、シュリ。まるであの日のようだね。君が声を取り戻した日。
君に想いを告げたあの日。…君の想いを聞いたあの日。


「シャリアス…っ…。お前…なのか…?」




涙に邪魔されながらもそう絞り出す彼女に僕は頷いた。





「…シュリ。僕だよ。」



たくさん待たせたね。…ごめんね。