「っ…あぁっ…!」


ビリビリと電気がシャリアスの身体を走る。
それでも防御魔法は重ねがけがされているのだろう。一度ふらつくものの、その足はしっかりと地面についている。


「殺した、と思ったのだがな。」

「…っ…残念ながらあの程度では死ねません。」

「自分で防御魔法の重ねがけ、そしてジョアンナにも何かされたな?」

「していただいた、の間違いです。」

「もう口を開くな!」


今度は指先から氷の矢を放つ。
風を一筋剣のように固め、それで矢を斬り落としていく。
全ての矢が斬り落とされると、風の剣は消え去った。


「ぬるいです、シュリ・ヴァールズ。」


そう言うシャリアスの右手には炎、そして左手には風が集まっている。
…炎は似合わないと、そんなことを思う。


「…炎は似合わない、お前には。」


思わず口から零れた言葉。
それは紛れもなく本心だった。


「そんなことはありません。風は炎を増幅させる。最高のパートナーだとは思いませんか?」


…もう、何も喋るな。
その声は…〝シャリアス〟のものだ。
〝お前〟のものじゃない。


「もう…それ以上言葉を発することは許さない。」

「望むところです。」


両手の指先に全神経を集中させる。


…シャリアス。
私達はどこで間違えてしまったのだろう。
この手でお前を殺めることになるなんて。