ハルアトスの姫君―君の始まり―

「生きていれば、どこかで必ず会えますから。
だから…今、どんなに苦しくても生きることから逃げないでください。
今度はもっと晴れ空の下で会いたい…です、あたしは。」


そこまで言い切ると、くるりとギルに背を向けた。
クロハの腕を掴みながら。


そしてゆっくりと歩き出す。
振り返らない。振り返ってしまえばきっと…










「…っ…あー…泣きそうだった!」

「…知ってる。よく頑張った、お前。」

「あ、甘やかさないで!」

「じゃあ掴まないでくれますかね、腕?」

「し、新婚カップルっぽく見えるでしょ!この方が!」

「んな風に見えたら自殺するっつってんだろーが!」










「…ジア…。とても美しい瞳じゃった…。
また、会える…かの…。」


女王陛下、マリアンヌの面影を宿す少女に出会ったからなのかもしれない。
心が妙にざわついて、でもそのざわつきが決して嫌なものではないのは。
ギルは口には出さず、心の中でそう呟いた。