ハルアトスの姫君―君の始まり―

* * *


「あと…3分よ。」

「…大丈夫だ。命は繋いだ。」

「良かった…。」

「だがなぁ…厄介なことに熱が出てきやがった。油断は出来ねぇぞ。
とにかくミアが『戻った』ら、すぐに頼む。治すと同時に矢を引きぬく。」

「にゃあ。」


月が森を明るく照らす。
満月の夜…ミアは『戻る』。


「あ、そうそう。
おれからは離れてくれよ。あと、着替えも用意しろ。おれの前で着替えんなよ?」

「分かってるってば。そういうとこ恥ずかしがるよねー…クロハって。」

「お前らはもう少し恥じらいってもんを知れ。」

「だって…クロハはなんか兄弟みたいな感覚だから多少裸を見られたって…。」

「このバカ!」

「いたっ!な…何もグーで殴ることないじゃない!」

「うるせぇ!いいからおれから離れろよ。」

「…分かったって。行こう、ミア。」

「にゃー。」


ジアは着替えを持ってクロハから見えない場所まで進んだ。


「ミア。」

「にゃ?」

「あたしの着替え、適当に戻しておいてね。」

「にゃあ。」

「それと…。」