ハルアトスの姫君―君の始まり―

シャリアスの足がぴたりと止まる。
…何かある。〝生〟のない、何か…。


シャリアスの光が、〝何か〟を照らす。


そこには…










「…人間…。」

「そう。この戦争で死んだ人間たちだよ。
魔女の血、つまりジョアンナ様の血を1滴ずつ飲ませ、腐敗を遅らせている。」


魔法使いはその血ゆえに老いが人間よりはるかに遅い。
その血を飲ませると老いのペースが遅くなるとかいう噂は耳にしていた。
だが、実際にそんな力があるということは知らなかった。
少なくともこの目で見るのは初めてだった。


「俺たちは何を?」

「ここでレスソルジャーを精製する。」

「レスソルジャーを…?」

「身体の臓器を全て除去し、中に土を詰め込み仮の生を与える。
仮の生を与えるのはジョアンナ様がなさる。」


淡々と説明するシャリアス。
本当に何も感じないのだろう。
彼は死した生なき人間の身体に手をあてた。


一瞬その身体が光る。


「消滅の魔法、君なら使えるだろう?」

「使ったことはない。」

「勉強は一通りしているのでは?」

「母親は人のためになるような魔法や自分を守る魔法しか教えてくれなかったので。」


そういう人だった、母は。
朧げな記憶を手繰り寄せて、そう呟く。