「え…?」


間抜けな声しか出ない自分がもどかしい。
それでもそれ以上言葉が続かないのは、その言葉の意味を本当の意味で理解できていなかったからだ。


「ど…ゆこと…。」


精一杯絞り出せたのがその言葉だった。


「言葉通りだよ。
人間と魔法使いの子どもである俺は…魔法使いの世界からはうとまれる存在なんだ。
完全な魔法使いにもなれない。でもヒトじゃない。
中途半端でどこにも属せない…。
いや、属しちゃいけない。誰の傍にもいるべきじゃないんだ、俺は。」

「…分かんない。なんでそんな…。」

「誰も幸せにならないって言ったよね。
まさにその通りで、俺は…やっぱり誰も幸せになんかできない。
むしろ色々なことに巻き込んで挙句…。」


キースの表情が一瞬曇る。いつもの優しい表情には戻らない。


「キース…?」

「ヴィトックスが燃やされたのも…俺がいたからだ。」

「え?」

「ジョアンナという、シュリ様よりも永きを生きている魔女が俺を呼ぶためだけにブレイジリアスを放たせた。シャリアスに。」

「それって…そう言われたの?それともキースの推測?」

「…どちらでも同じことだよ。
君たちを危険に晒したことに変わりはない。」


低い声でキースはそう言った。
今までに聞いたことのないくらい、灰色の声だった。