ハルアトスの姫君―君の始まり―

* * *


視線が逸らされた。キースの方から外してくるなんて珍しい。それだけで異常事態だ。
だから発せられた言葉だって上手く飲み込めない。
そんな混乱状態のあたしに追い打ちをかけるように言葉は重なっていく。


「ジアはさ、俺がどんなイキモノか分かる?」

「え…?」


どんなイキモノ…?
だって見た目は普通に『ヒト』だ。それ以外に何が考えられる?


キースは柔らかい表情のまま口を開く。










「…俺がヒトじゃない、って言ったら…ジアは信じてくれる?」

「ヒト…じゃない…?それってどういう…こと…?」










見た目は本当にただのヒトだ。
自分となんら変わりはない。なのにヒトじゃない。だったら…何?






「俺は…ハーフなんだ。ヒトと魔法使いの。」