ハルアトスの姫君―君の始まり―

「自分を治した特殊能力に興味があったのは事実だよ。
ミアかな、とも思ってたし。」

「最初から呪いに気付いてたのか?」

「それが呪いと称されるものかはさておき、何か複雑な事情があることは分かっていたよ。
シュリ様ほど事細かに分かっていたわけではないけど。」

「じゃあ、お前が旅を続ける理由は好奇心、っつーことか?」

「そうだね。端的にまとめてしまえばただそれだけだ。」

「…もう一つ訊きたい。」

「どうぞ。」


キースの表情が険しくなることは一切なく、和らいだ表情のまま話は進む。


「お前は、自分が魔法使いとヒトのハーフっつーことを言わないつもりか?ジアに。」

「あれ?ジアとミアに、じゃないの?」

「ジアに、って訊いてるんだ。」

「…そうだね。気付いたら否定するつもりはないけれど、自分で言う気にはならないっていうのが本音かな。」

「何故だ?」


キースの表情が曇った。そこに一瞬の迷いが見える。
だがすぐにキースは表情を戻した。そして口を開く。


「言っても誰も幸せにならないから。」

「え…?」


意表を衝かれた答えに、自分でも間抜けだと認めざるを得ないような返事を返すことしかできなかった。