ハルアトスの姫君―君の始まり―

あまりにあっさりとした物言いに驚きを隠せなかったのは明らかにおれの方だった。


「お前…んなあっさり…?」

「嘘吐くなって言ったのはクロハの方でしょう?だから正直に言ったまでだよ。
クロハの言う通り、俺はヒトと魔法使いの間に生まれたハーフ。
…あってはならない存在だ。」

「あっては…ならない…。」

「本にも書いてあったんじゃない?」

「なんでそれ…。」

「シュリ様は俺の口から自分の正体を言うことを望んでいたけど、俺はそれを拒んだからね。
だからこそクロハにそれらしい書物を薦めた。違う?」


違わない。
シュリが読書でもしたらどうだと言ってきたのは事実だった。
本を手にしたのはクロハ自身の意志だったが、取りやすい位置にあるものから選んだ。
つまり、そこに置いたのはシュリで、シュリが何かを意図して本を置いた可能性は十分考えられる。


「違わない。お前の考え通りだ。…これで全ての辻褄が合った。」

「だろうね。クロハは俺を疑ってばかりだったから。」

「シュリに謀られてた感は否めねぇけどな。」

「シュリ様が与えたヒントだけで俺の正体に辿り着いた。
シュリ様もこんなに早くクロハが答えに辿り着くとは思っていなかったと思うよ。」

「…引っかかってた部分があった。」

「俺がヒトじゃないなって意味で?」

「ああ。」

「たとえば?」

「シュリとの会話、シュリの存在を知っていたこと。」

「なかなか鋭い指摘だね。他には?」

「…魔法使いの中にはごく稀に、治癒力の強い者がいる。」


あくまで淡々と言葉を吐き出した。