ハルアトスの姫君―君の始まり―

【クロハside】


シュリの家から少し離れた所まで来た。
先に口を開いたのはおれだった。
飄々とした佇まいのふざけた野郎に全てを訊くために。


「…お前も見当がついているみたいだし、単刀直入に訊く。」

「その質問は全て答えなくちゃならないのかな?」

「お前の良心に任せる。ただ嘘は吐くな。」

「嘘は吐かないよ。嘘なんて言ってもクロハにはばれるだろう?」


キースのそういうところが面白くない。
何でもお見通し、そういう立場はいつもなら自分の役回りだった。
それがキースと同行し始めると大きく変わってしまった。
どこか少し離れた位置で、何か分かったような目をして…それでも何も言わない。


「お前のそういう態度が気に食わねぇんだよ。」

「そんなこと言われてもなぁ…。
もうこういう風にしか生きられないから。」

「それはお前の境遇ゆえか?」

「いきなり核心突いてくるね。大方分かったみたいだね?」

「予想の範疇を越えはしない。」

「でもその予想を確認しに来たんだろう?」

「ああ。」


おれがずっと読書をしていたのはただ読書が好きだからではない。
魔女の家には今まで自分が目にした事のないような書物がたくさんあった。
つまり、自分にとって未知の領域である『魔法』についての事柄が事細かに載っていたのである。
予想を予想のままにしないために、言葉を選んだ末に口を開いた。




「お前、魔法使いか?」