遠く青い空。

雲1つ無い青空の下、薄桃色の桜が満開に咲いている。

桜の花びらたちは、春の暖かな風に吹かれて、なびいている。

足元には、赤、黄、紫の小さな花々が咲いている。

今日から高校生になるワタシの目には、全てが輝いて見えた。

ワタシは立ち止まり、たくさんの空気を吸い込んだら、ワタシの心は夢や期待でいっぱいになった。













「あの……」













背後から、いきなり声がした。

ワタシは驚いて、勢いよく振り向いた。

その瞬間、我に返り、急に恥ずかしさが込み上げてきた。


「あの、ちょっといい?」


声をかけてきた男の子は、ワタシと同じ制服を身にまとっていた。


「同じ学校の人だよね?」

「はい」

「迷っちゃって…。
道、教えてくれない?」


新入生なのだろうか。

制服が今にも、パリパリと音をたてそうなくらい、輝いている。