「起きてる?」

 ぴったり9時に廊下の電気が消され、就寝時間となった。

 部屋の電気は半分が消えただけで、まだまだ明るい。夜の見回りの時に見やすくしているらしい。

 布団は奥から、和美、雪乃、キャシーと並んで敷いた。すぐにキャシーは寝息をたてはじめたが、雪乃はなかなかやってこない睡魔に何度も寝返りをうっていた。

 その時に、和美の声が聞こえたのだ。


「はい、なかなか眠くならなくって・・・」
横向きになって和美の方を向き、小声で答える。

「慣れへんことばっかりやから無理ないわ」

「和美さんは、眠くないんですか?」

「最近うち不眠気味やねん。一応、眠剤もらってるんやけどなぁ」
上向きで蛍光灯の光を見つめながら和美は言った。

「私も普段から眠りにつくまでに時間がかかっちゃうタイプです」
薄い毛布を胸まで引き上げる。

「雪ちゃんっていくつなん?あ、言いたくなかったらええけど」

「20歳です」