「食べてください」


いきなり…なんなの…


「………いらない嫌いなの」

「……そーですか…」


何なのよ…!
そんなシュンとしないでよ
そんな顔されたら


「分かったわよ…!
食べるわよ」


仕方なく一口


口に広がるカカオの甘味と苦味
でも苦味が妙に心に染みて…



「どうですか?」


「やっぱり…嫌いよ。
でもその通りよ…私個人の感想は、だけど」


何だか…貯まった気持ちが
溢れてくる


今から私が言うことは
聞き流していいから…―


「…私が無理して2人の幸せを
見守ってきたのは、
たまらなくアノ人の声が聞きたくて
わざと間違い電話しちゃったのは、


嫌いなこのお菓子を
食べてしまうのは、


アノ人が好きだったから


でも今日アノ人はアノ子と結婚した

アノ人に残るのはアノ子で
私に残るのは、この苦い
片想いだけかしら…」




こんなこと…
彼に言っても意味ないのに