…それから1時間。


「ねっ…寝れないっ……!!」

悲しい事に、晃汰の寝言にいちいち敏感に反応したり、晃汰の寝顔にいちいちドキドキしたりして、まったく眠れない。


もう時計は0時をとっくに過ぎてる。

明日の練習のためにも、よく寝て体力回復しなきゃいけないのに!!


「円…」

っ!!また…!!

「走…れぇ…」

「うるさいなー。走ってるもん」


なんて、寝言に文句を言ってみる。

返事なんか返ってくるわけないんだけどね。


なんか嬉しかったりする。


だって寝言であたしを呼んでくれてるって事は、晃汰の夢の中で、あたしと晃汰が一緒にいるんでしょ??

そういうの…ちょっとだけ嬉しい。

本人には何がなんでも言わないけど!!


「あたしやっぱり好きなんだな…」

改めてそう思う。

こんな奴だけど、ちゃんと好きなんだなーって。


普段言い合いばっかりしてるあたしたちだけど、それでもやっぱり想いはあるんだよね。

…って、あたしからだけだったらどうしよう!?


う、心配になってきた。


だって晃汰って全然“好き”とか言ってくれないし、デートだって全然行ってないし。

部活のせいでなかなかデートに行けないっていうのもあるけどさ??


「んぅー…」

まったく…当の本人は能天気だし。

「馬鹿」


もうあたし、寝るの諦めて晃汰の寝顔眺めて過ごそうっと。