「各自この後体育着に着替えて、チャイムまでに校庭に整列完了しといてください」

「「はぁーい…」」


やる気のない返事をするあたしたち。

そりゃ皆、わけもなく走りたくないよね。

しかも男子30km、女子24kmだし。


論外すぎる!!!!


「円っ」

「あ、胡桃!!何ー??」

「マラソン頑張ろうねっ♪」

ゔっ…。そ、その笑顔は反則だよ!?

「頑張る!!!!」

そんな笑顔見せられたら、頑張るしかないでしょ!?


「じゃーお先っ」

「亀だからって、ビリになるなよ」

「それはないよ、まーちんエースだもん♪」

「黙れホモ。エースは俺!!」

「きゃー!!晃ちんかっこい「晃汰、俊介、置いてくぞ??」」


女子より先に走るから、晃汰たち3人は先にスタート。


「よーい…」

ーパァンッ


ピストルが鳴れば、もう3人の姿は見当たらない。

さっきまであんなだったのに、気付けば一気にトップに踊り出ていた。

…いくらなんでも、速すぎません??


3学年で一斉に走るこのマラソン大会は、普通なら2、3年生がトップ集団を独占するらしいんだけど…。


あの3人は、そのトップ集団に入るどころか、むしろそれを引っ張っていくぐらいのペースで走っていた。

他のサッカー部の1年生も何人か入ってるし…。


そんなペースで30kmも走れるの!?って思ったのに、そんな心配はいらなかったらしい。

「1位ゲットぉぉぉ♪」

まさかの俊介が1位で帰ってきた。


…陸上部の部長に競り勝つって……俊介はどこにそんな体力兼ね備えてたの!?