「んじゃ、1.5km先の折り返し地点にある岩で、一旦全員集合な??」

「「はい…」」


嘘っ!?1人で自分のペースで泳ぎたいのに…。

余計つらい!!!!


「じゃあ、1年生から学年ごとに泳いでいくぞー」


幸い、泳げない人は1人もいなくて…。

だけど、むしろ得意な人も多くて…。汗

あたし、そんなに泳げないのに!!


ーピッ

そうこうしてるうちに、部長がホイッスルを鳴らした。


それぞれが思い思いのルートで1つの岩へと向かう。

「きゃっ!!!!」

波が寄せる度に、身体が水に浸かって冷たい。


「お前は亀か」

ーグイッ

「ぅえ!?」

「早く泳げよ馬鹿。岩でお前を待つのは面倒臭ぇんだよ」


そう言って、あたしの腕を引っ張って泳ぎ出してくれたのは、晃汰。

カァッと顔が赤く染まるのが自分でもわかる。

…まさか、晃汰が腕を引っ張ってくれるなんて。


「そろそろ自力で泳げ。腕引っ張りながら平泳ぎは無理」

「あ、うんっ」


足がつかない深さまで来た頃、晃汰の手がパッと離れた。

それが当たり前なのに、寂しく感じてる自分が恥ずかしくなった。


ーパシッ


「!?」

無心で泳いでいたら、何人かに腕を掴まれた。

誰!?!?


「円お疲れ♪」

「まーちん、折り返し地点だよ!!」

「やっぱり亀」


いつもの3人が、それぞれの言葉をかけてくれた。


最後の晃汰の言葉はイラッとしたけど、実際に皆を待たせてたから文句は言えない。

むしろ反省…。


そんなこんなで、初日の遠泳が終わった。