ふと、怜央は壁一面に敷き詰められた古めかしい本に目がいった。


殆どがヴァンパイア関連の本。


ずっと、馬鹿にしてきた。


ヴァンパイアなんて、いるはずがないと。


そんなものを研究する奴なんて、気がしれないと。


そして怜央は最後の疑問を口にした。


「俺は……ヴァンパイアになるのか?」


人間の血が美味しそうだと感じた。


白い首筋に歯を突き立てる衝動に駆られた。


人間の血を吸うなんて、まるでヴァンパイアみたいじゃないか。


静寂が部屋を包みこみ、際どい質問に部屋の温度さえも低くなったかのようだった。


ヴラドは表情一つ変えずに怜央を見詰め、そして薄い唇を開いた。







「お前はヴァンパイアを越えた、全種族の頂点に立つ者だ」