「まあいい」


迷い、複雑な感情に戸惑っている怜央の思考を制するようにヴラドが牽制(けんせい)した。


怜央の心を慮(おもんばか)ってのことではなかった。


聞いておきながら薄情な話だが、怜央の話に特に興味もなかったのである。


何が起きたかは瞳を見れば大体分かった。


「安心しろ、お前はまだ人間だ」


「まだって何だよ! 人間じゃなくなるかもしれないのかよ!」


「ああ、そうだ」


薄々感じていたことだが、真実をこうも簡単に告げられて呆然と立ち尽くした。


「抗(あらが)う…方法は?」


「抗う方法? 人間でいたいのか?

そんな方法なんてない。存在しない」


言葉が出なかった。


余命を告げられたかのようだった。


「俺は……いつまで人間でいられる?」