「どうしたの? 怜央ちゃん、顔が真っ青だよ」


茜が近付き、顔を傾けた。


すると、茜の身体からこれまで嗅いだこともないような甘く爽やかな香りがした。


「茜、その匂い……香水つけたのか?」


「香水? そんなのつけてないけど」


「でも……」


それはとてもいい匂いだった。


柑橘系のように爽やかでありながら、味はきっととろけるように甘い。


舐めたい。


食べたい。


吸い尽くしたい。


怜央の中で凶暴な欲望が湧いてきた。


……茜の首筋に噛みつきたい。