「ううん。
どんなに強い力が働いて記憶を消されてたって、私だけは怜央ちゃんのこと忘れたくなかった。

無茶苦茶なこと言ってるのは分かってる。
でも、怜央ちゃんは私にとって何よりも大切な存在なの。
忘れるなんて、私が私を許せない」


「茜……」


茜は布団からゆっくり手を出し、膝をつき、茜と同じ目線の高さにいるレオの頬に触れた。


「怜央ちゃんが苦しんでたこと、気が付かなくてごめんね。
怜央ちゃんが例え人間じゃなくても、幽霊だってヴァンパイアだって何だっていいの。

一緒にいてくれるなら」


茜の目尻から涙が伝い、真っ白なシーツの上に零れ落ちた。


「怜央ちゃんが好き。
私を魔界に連れてって」