「假屋崎のことも覚えてるか?」


「うん。私、殺されかけた。
でも、その後のことは覚えてないんだけど……」


「あの後茜は気を失って倒れていたんだ。それで……」


「それで?」

「すまん、茜。
茜はもう、人間ではないんだ」


「……どういう、こと?」


レオは茜に自分の知っていること全てを説明した。


自分のこと。両親のこと。


日向が狼人間となったこと。魔界のこと。


そして血の儀式によって、茜はもう人間ではなくなったことなど、全てだ。


茜はレオの話しをじっと聞き続け、全ての説明が終わると、正面を向き天井を見上げた。


「私はもう、人間界では暮らせないんだね」


「ごめんな」


「謝る必要なんてないよ。
怜央ちゃんは私を助けてくれたんだから。

それに……。
謝るのは私の方。怜央ちゃんのこと、忘れてたんだから」


「それは記憶を消されてたから……」


茜は悲しげに頭を振った。