ヴァンパイア王子~覚醒のblood~

「お前の目的は……王の座か?」


「もちろんだ。

本来ならば、王と正妻の実子である俺の方が、ラシードよりも継承権は高いが、母の信用は失落した。

今名乗りでても俺の後ろ盾となってくれる者は現れないだろう。

しかし、現在の平和主義の政治を嫌う者も多い。
俺は力と金を操り、実力で魔界を制してやる!」


キルリアの瞳は黒く淀(よど)んでいた。


瞳の奥を見つめれば見つめるほど、負の塊に飲み込まれてしまいそうになる。


「そんなこと絶対にさせない」


呟くように言ったレオの言葉に、キルリアの目がピクリと動いた。


「お前を魔王には、絶対にさせないっ!」


レオの身体から突風がふきだし、キルリアはさっと身をかわした。


「あああああ!!」


レオは立ち上がり、声を張り上げた。


風が龍のように舞い上がり、レオの服や髪を揺らした。