ヴァンパイア王子~覚醒のblood~

「俺の母、カルレア王妃はヴラドとの権力争いに敗れ、さらに顔に大火傷を負い自殺した。
母とレオボルド王の間には愛情はなく、母は愛人と共謀し王を殺し、愛人との間に子供をもうけた。

しかしそれもラシードによって暴かれ、王の嫡男はヴラドとラシードだけとされている。

だが……」

キルリアは妖しく微笑んだ。


ぞっとするほど美しい顔は、ヴラドの兄弟であることに真実味をもたせる。


「母はどこまでも狡猾な女だった。
いつか全てが明るみに出た時、自分を守るために策に策を重ねた。

権力に執着する母は、王を殺す前に一手を投じていた。それが、レオボルド王との間に子供を作ることだ。
しかしレオボルド王は母を拒絶していた。子供ができるわけがない。
そこで母が目をつけたのが人間界だった。

人工授精とクローン技術だ。
レオボルド王から精子をとることは難しい。
ならばクローン技術を応用し、レボルド王の細胞から精子をつくりだし受精させることを考えた。

基礎は人間が考えてくれているので、それを応用することは人間などより何倍も賢いヴァンパイアにとっては難しいことではなかった。

秘密裏に俺は作りだされ、最後の一手として残された。

人間界に興味を抱いたのも、俺が人間の頭脳によって作りだされたようなものだからだ。
一度人間界をこの目で見てみたかった。

結果は……失望することだらけだったがな。
人間はあまりに無能で、あまりにも弱い。

なぜ魔界は人間界を野放しにするのか。理解に苦しむよ」