ヴァンパイア王子~覚醒のblood~

「謙太! 大丈夫か!?」


日向は強い魔力の波動が人間たちに当たらないように、バリアを作って守っていた。


コクーンたちが消滅し、魔力を放ち終わった後とはいえ、建物内に残った僅かな魔力に人間が触れたら危険だ。


檻の一番奥で、女性たちに守られるようにして眠っていた謙太を見つけ、ほっと肩を撫で下ろした。


「良かった。無事やった……」


日向は謙太を抱きあげた。


日向の瞳からは涙が浮かんでいた。


「ん……っ」


日向に抱き上げられた謙太が、ゆっくりと瞼を上げた。


謙太は不思議そうに、日向を見つめ、そして嬉しそうに笑った。


「あの時のお兄ちゃん。会いに来てくれたんだ」


「そやで。兄ちゃん、約束守りに来たで」