コクーンたちがじりじりと寄ってきたので、日向は背中に冷たい汗が流れるのを感じた。


一匹一匹は小さいが、何しろ数が数である。


数百匹はいそうだ。


しかも彼らは飛ぶ者や跳ねる者までいる。


上や後ろを取られて、虫が襲いかかるようにたかられたら為すすべがなくなる。


「日向は人間たちを解放し、逃がしてやってくれ」


「一人で戦うっていうんか!? 無茶や!
この場に応じて、なに寝ぼけたこと言って……」


日向の言葉は、レオが顔を上げたことにより途中で切れた。


レオの瞳が紅く染まっていた。


血が足りないせいもあるかもしれないが、レオの顔はぞっとするほど白かった。


本来ならここで、顔の白さに心配する所なのかもしれないが、レオが怒りを身体の内側に抑え込んでいるのが分かり、日向でさえも恐怖を感じた。


妙な落ち着きが逆に怖い。


「大丈夫だ、俺を信じろ」